ゲームブック「ブラッドソード」

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zoom RSS CM2-2 夢の中で(In Dreams)

<<   作成日時 : 2015/03/27 23:02  

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【ゲームブックでの該当場面】
・灰色のレディ&鎧の化け物との戦闘
・その後の塔内の探索

【ゲームブックと異なる設定】
・老騎士ヴァラダックスの兄の花嫁としてセレシャ(Seresha)が登場
・灰色のレディはセレシャの姿をコピーしていた。また、灰色のレディがワーロック王の手下である可能性が指摘された(真相は不明)。
・セレシャはワイアード出身の預言者で、かの地にブラッドソードの手がかりがあることを二人に教えた。
・塔内の探索では、デーモンや罠や魔法の球は登場せず。

【戦闘シーン】
鎧の化け物どもが迫ってきた。対面の相手が生者ではなく古代の甲冑に憑りついた亡霊であると悟り、アルターは戦慄した。カエレスティスは低い突きから跳びのくと、続けざまに薙ぎ払われた槍を頭を下げてかわした。だが、いつまでもかわし続けることなどできそうにはなかった。一方、アルターは喉元を狙った突きを剣で受け流した。少なくとも彼には魔法の銀の剣で防御するという選択肢があったが、彼にしても疲れ知らずというわけではない。二人は徐々に壁際へと追い詰められた。
C「こいつらを成仏させられないのか?」
A「我々は修道騎士団、除霊は専門外だ。」
C「修道士が祈祷よりも剣の方が得意とは、一体世の中はどうなってるんだ?」
アルターは相手の虚ろな面頬に剣を突き刺した。そいつは苦痛の叫びをあげたが、ただそれだけだった。超自然的な力で、アルターの心臓めがけて反撃の一撃を繰り出してきたのだ。面頬への突きでバランスを崩していた彼には、致命的な一撃をかわすチャンスはなかった。だが次の瞬間、彼は強く押されて床に転がり、逸れた槍は壁に当たって火花を散らした。カエレスティスが宙返りをして、アルターを足で蹴ったのだ。鎧の化け物はなおも槍を突き立てようとしてきたが、彼は剣を一閃して槍の木製の柄を切り落とした。バランスを崩して倒れそうになった化け物に押しつぶされるのではないかと一瞬危ぶんだが、そいつは奇跡的に直立し続けた。
だが、もう一体がのしのしと向かってくる。
A「もし何か作戦を思いついたなら、今が実行する時だぞ。」
アルターの掛け声に、カエレスティスは一か八かで剣を灰色のレディの頭めがけて投げつけた。だが動けないとはいえ、魔女はうなりをあげて飛んでくる剣の軌道を目で追っていた。魔法のエネルギーが脈動すると、鼻をつく臭いを残して、剣は見えざる盾で弾き飛ばされた。二体目の化け物は、既にカエレスティスの傍まで迫っていた。武器のない彼には受け流すすべはなく、身をかわすには遅過ぎた。
だが、彼の賭けは無駄ではなかった。投げられた剣を弾くために魔法を使う間、灰色のレディはヴァラダックス卿の存在を忘れていた。束縛を維持する精神集中が途切れたため、彼を縛っていた石の触手が緩んだ。老騎士はこの機を逃さなかった。別の魔法の盾を作り出す間もなく、彼の剣は魔女の首をはねた。邪悪なしかめ面のまま、首は敷石の上に転がり落ちた。同時に、鎧の化け物の内側から低いうなり声がして、壊れた操り人形のように前のめりに倒れた。
C「何とか間に合ったな。」
A「剣を投げるのが最善の策だったのか?ファルタインか何かを呼び出せなかったのか?」
C「もちろん無理だったさ。そんなことをしたら、奴らが俺達を串刺しにしている間にファルタインと交渉するはめになってたぜ。言い争いを終わりだ。俺達は生きている、そうだろ?」

【塔の探索シーン】
ヴァラダックス卿は、盾の紋章が彫られた象牙の飾り板を部屋の奥で見つけた。兄の持ち物だったというそれを手に取ろうとした時、カチッと音がして狭い下り階段が床に現れた。ヴァラダックス卿は震えながらつぶやいた。
V「そんな事があり得るだろうか?今までこれだけの年月が過ぎているというのに…。」
彼が秘密の通路を下っていったため、二人も渋々後に続いた。途中、通路が狭くなっている箇所で、肩幅の広いアルターは身動きが取れなくなったため、カエレスティスが後ろから蹴りを加えて押し出すという一幕もあった。
階段の終わりにはオーク材の扉があった。凍てつく水に飛び込む人のように深く息を吸い込むと、ヴァラダックス卿は鉄のハンドルを回して扉を開けた。部屋の中には石の棺があり、中には蝋人形のように肌の白い、ブロンドの髪の女性が横たわっていた。
C「灰色のレディだ!」
V「いや、あの姿は魔女が盗んだものじゃ。この女性は我が兄の花嫁のセレシャ、数十年前の結婚式の夜、魔女に呪いをかけられたのじゃ。」
ヴァラダックス卿が嘆き悲しんでいると、驚いたことにセレシャの唇が動き出し、鼓動も再び感じられるようになった。助け起こすと呼吸が滑らかになり、青白い頬にも色味がさしてきた。そして、小鳥の羽ばたきのようにまぶたが開くと、サファイアのような青い瞳があらわになった。灰色のレディは恐ろしげな雰囲気だったが、その同じ姿をセレシャの純潔さは美しさへと変えていた。
若者二人を見た彼女はきょとんとしていたが、老騎士に視線を移すと驚きで目をみはった。S「まさか…。」
口ごもる彼女に、彼は涙を流しながらうなずいた。
V「そう、わしじゃ、ヴァラダックスじゃよ。」
彼女は手を伸ばして、彼の年老いてしわの寄った顔に触れた。
S「私は、あなたが私を起こしに来てくれるという夢をみました。あなたと他の二人が折れた剣を帯びて。でも何が起きたの?あなたはとても年老いてるわ。」
V「30年もの歳月が過ぎてしまった。わしはつい最近になって探索の旅から戻ってな、それから魔女の犯した悪事を発見したのじゃ。もう決してどこにも行かぬ。そなたに起きた全てのことに責任を取ろう。」
S「いいえ、それはあなたの落ち度ではないわ。それで…、私の夫はどうなったの?」
V「死んだよ。」
S「かわいそうなジョダックス…。ところで、あなたのご友人方を忘れてたわ。」
C「あなたにお仕えできて光栄の至りです。危険など我らには何の意味も持ちません。賞賛は結構です。正義こそ我々のモットーです。」
彼女は悲しげに微笑んだ。
S「私のみた夢ではあなたは違っていましたよ。そんなに若くもなければ、そんなに楽しい人でもありませんでした。邪悪な星達が旅の中であなたを変えてしまったのですね。」
カエレスティスは肩をすくめただけだったが、アルターはもっとまじめに受け取った。
A「夢の中にはしばしば真実があるものです。」
V「セレシャの場合はそれ以上の意味があるぞ。彼女はかつてワイアードの預言者じゃったからな。」

【別れ際】
彼らは塔を出て、草の茂った斜面に立った。ヴァラダックスはセレシャの肩に腕を回し、自分のマントを掛けてやった。
S「私は遥か北方のワイアード王国で生まれました。その島はワーロック王によって統治されています。」
A「彼の事は聞いたことがあるが、それは子供を怖がらせるおとぎ話だと思っていた。」
S「彼は実在の人物です。そして、彼を怖がるのは子供だけではありません。彼は夢の中に入り込むパワーを持ち、自分に逆らう者には酷い悪夢をみせるのです。時として、人は目を醒ましません。」
彼女は長い間眠り続けた背後の塔を振り返らずにはいられなかった。
A「灰色のレディは彼が送り込んだのですか?」
S「分かりません。彼は自分の王国の外には力を及ぼせないはずです。それが、私が海を越えてここに逃げてきた理由なのです。灰色のレディは彼のエージェントかもしれませんし、そうではないかもしれません。今となってはもう知りえないことです。」
C「ヴァラダックス卿はあなたを預言者だと言ったが、それはつまり、あなたの夢に隠された意味があるってことですか?」
S「それはあなた方が私に話してくださらないと。折れた剣が何を意味するのか―、ええ、私はそれを夢でみたのです。私の夢では、あなたがた二人はワイアードに運命づけられていました。」
C「ワイアードだって?北へ?厳冬の?何てみじめな行く末だ。何かの間違いじゃないのですか?」
アルターは笑いながら相棒の背中をどんと叩いた。
A「お前はいつも貰い物のあらを探してばかりだな!この手がかりが天からの贈り物だとは考えられないのか?我々は生命の剣の次の部分を見つけなければならないんだ。レディ・セレシャの夢によると、それはワイアードで見つかるのだろう。」
S「注意してお行きなさい。ワイアード王国に入ってしまえば、あなた方はワーロック王のパワーの支配下となります。あなた方が来たことに気づけば、彼は夢の中であなた方を殺そうとするでしょう。」

【感想】
戦闘シーンやセレシャとのやり取りは、箇条書きにすると雰囲気がかなり損なわれてしまうので、大まかに訳してみました。というわけで、この「マギ戦記」では、ワイアード島にブラッドソードのパーツがあることを教えてくれたのは、瀕死の吟遊詩人ではなく今回登場したセレシャでした。ヴァラダックス卿は誇り高い騎士なので、彼女の救出に丸々30年費やしたとは言わずに、最近ここに戻ったばかりだと強がっていましたが(笑)。
それにしても、結婚式の夜に呪いをかけられ、蘇っても結局夫とは再会できなかったとは、大魔法使いエンタシウスとその許嫁コーデリアのように切ない物語です…。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
今回はカエレスティスがハエ刺しを使いましたか。
不老の効果がある呪いをかける灰色のレディって、何気に凄いかも。エンタシウスでさえ不死と不労の共有はできず、ミョーグでさえ年月の激流からは逃れられなかったというのに。
セレシャの夢に出てきたアルターがどんな人だったのか、少し気になりますね。
伝説の勇者
2015/03/28 13:52
更新お疲れさまです〜
ワーロック王による悪夢による支配から人々を守り、
励まし続けた預言者(ゲームブック版のウルバ)と違い、
不幸な結末になったとしても「国外脱出&地位ある人物と結婚」とは
良くも悪くも一般人っぽい預言者ですね…
アイスラーケンに遮られ、脱出できなかった女性を思い出しました。

ゲームブック版では大きな障害となっていたアイスラーケンでしたが、
火の球がないのではやり過ごしようもないわけで、魔法の絨毯使用コースを取るので出てこないのでしょうか?
なお、アイスラーケン、綴りからすればドイツ語かな、とも思ったんですが、
(ドイツ語では氷は「EIS」)
下の「laken」はドイツ語だと「シーツ(敷布)」となるのでしっくりきません。
「氷の下側にいる者」みたいな位置づけで造語にしたんでしょうかね?
アル=ケイン
2015/04/05 19:57
伝説の勇者、アル=ケイン様
コメントありがとうございます。マギ戦記、またいつの日か再開するつもりです。ソーサリーが終わってから(いつになるやら?)。
チームトムトム
2016/08/07 10:51

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